2)成年後見の役割

 

成年後見制度は、本人の判断能力が低下してから開始される制度です。

 

私が認知症になれば、一人ではアパ-トの契約や預金の引き出しができないので、成年後見人を付けるために家庭裁判所に申立をすることになります。

 

後見人には、長女の和子さんが選ばれれば良いと思っていましたが、弁護士さんが選ばれたので、その弁護士さんに私の預金通帳その他の財産一式を渡すことになりました。

 

2)成年後見のしくみ

 

自宅の所有者が施設に入所し、自宅は空き家になってしまい、固定資産税や自宅の庭の管理等が大変な負担となり、売却したいと思う方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。?

 

自宅を売却するには家庭裁判所の許可が必要ですが、売却しなければならないような合理的な理由があるのか否かで判断されています。

 

また、アパ-トの大規模修繕など改良を目的とする工事なども許可されない可能性が高いと思われます。

 

成年後見人の役割は現状維持が基本であります。本人の財産は本人のための支出が基本であり、家族のための支出となると、大変難しくなっています。

 

自宅の売却を目的として成年後見の申立をしたところ、許可がされないケ-スもあります。      自宅が金銭に変わることによって、管理上のリスクが高まってしまうことと関係があるようです。

 

本人の認知症の症状が回復するか、または本人が死亡するまで後見手続きは続きます。

 専門職の後見人が選任されると月額1.5~2万円程の報酬が発生し、本人が死亡するまで続きます。

 

 

4)任意後見制度とは

 

本人が元気なうちに公証役場で任意後見人(長女)を指定しておけば、本人が認知症などで判断能力が低下した場合には、長女が任意後見人として本人の代理をすることができるしくみとなっています。

 

任意後見の場合には、家庭裁判所から任意後見監督人が選任され、手続きが開始されます。

 

また、任意後見人の後見事務についての報告は任意後見監督人を通じて裁判所に報告がなされることになっています。

 

任意後見人の役割は、基本的には成年後見人と同じです。

従って、相続税対策としての財産の生前贈与などは難しいと考えられます。

アパ-トの大規模修繕等は、監督人と協議することが必要となります。

 

 

5)アパ-ト所有者の権利等

 

 

1)アパ-トの所有者は管理・処分する権限を持っています。「管理の権限」

 

・修理のために工事契約を交わす

・賃借人と賃貸借契約を交わす

・アパ-トを売却するときに売買契約を交わす

 

 

2)アパ-トの所有者は、お金を受け取る権利を持っています。「お金の権利」

 

・賃料を受け取る権利

 ・売買代金を受け取る権利