「4」事例3 障がいのある子に財産を渡したい
私は75才、妻は73才、長女は45才、長男は41才で知的障がいを持っています。
私が死亡した後、長男のことが心配です。
私の財産は、自宅 約3000万円、預金 約5000万円あります。
なにか、良い方法はありませんか。
1)遺言の作成
知人に言われ、私は「長男に全ての財産を相続させる」旨の遺言を作成し、遺言執行者として長女を指定しました。
私が死亡したら、長男は自宅と預貯金の全てを相続することになります。
預金の管理等は当面は妻がすることになりますが、妻が死亡したら、自宅は空き家になるので、売却すれば良いと計画しています。
しかし、知的障がいのある長男が単独で売買契約を結ぶことはできません。
預貯金を管理することはできません。そこで家庭裁判所に成年後見人を選任して貰わなければなりません。
2)後見人が選任された場合
① 自宅売却には家庭裁判所の許可が必要です。
② 専門職の後見人が選任された場合には報酬が発生します。
③ 本人のための支出しか認められない。
④ 資産の運用等は認められない。等々
3)家族信託で解決する。
受託者:長女・・・・私の財産を管理・処分する人
当初受益者:私・・・家を売った場合、売買代金等収益を受ける人
第二受益者:長男・・私死亡後、私の財産を受け取る人
第三受益者:長女・・長男死亡後、長男の財産を受け取る人
自宅と預貯金5000万円については、長女が管理をすることになります。
私名義の財産ですから、当初受益者を私にしないと贈与税が課税されます。
私死亡後には、長男が受益権を取得しますので、相続税で処理されます。
長男死亡後には、長女が最終的に受益権を取得することになります。
なお、自宅の売却については、長女が独自の判断で行うことが可能です。