4) 家族信託で解決する

  

 株式を委託者(社長)から受託者(長男)に信託します。

 受託者は、株式の管理、処分する権限「管理の権限」があります。

 

 株式の配当等の利益を受け取る権利(お金の権利)は受益者(社長)です。

 

 税務上は受益者が所有者とみなされますので、委託者=受益者で贈与税は

非課税です。

 株主名簿の記載は委託者から受託者に変更されます。        

 

株式を信託すると、下記のとおり管理・処分する権限と収益を受ける権利

に分離されることとなります。

 

 

 

 信託すると所有権の形が一変し、

 

「管理の権限」と「お金の権利」  に分離されます。

 委託者:株式の所有者で託す人(父)

 

 受託者:委託者より株を託され議決権を行使する人(管理する権限)(長男)

 

 受益者:株の配当等を受け取る人(お金の権利)(父)

  

 

 

信託設定時

 

 1)株を後継者である長男(受託者)に信託します。

 

 2)議決権は、後継者が持つことになります。

 

 3)オ-ナ-は、後継者の議決権行使にあたり、「指図権」を持つことがで

きるので、後継者に指図することで影響力を保持することができます。

 

 4)オ-ナ-が認知症になっても、後継者が議決権を行使することができる。

 

 

社長が死亡すると

 

 1)受益権は後継者が取得し、信託終了となります。

 2)後継者は株式を取得しても、相続税で処理できます。

 

 

5) 自社株信託の特徴

 

 1 議決権を行使する権限は長男に移り、長男が会社の実権を握ることにな

ります。

 

しかし、社長に「指図権」を留めておけば、議決権の行使にあたって、

長男に指図することができるようにしておけば、判断力が低下するま

では、オ-ナ-としての実権を握り続けることができます。

 

 2 生前に長男に株式を渡しても贈与税や買取資金の心配が不要です。

 

 3 長男が後継者としての資質に欠けると判断した場合には、信託を解除し

   て株式の返還を受けても税務上は何ら課税されることはありません。

 

 4 委託者(社長)が認知症になった場合でも後継者(長男)が議決権を行

   使することができるので、会社の経営には影響はありません。  

 

 5 任意後見と合わせた方法により、父の認知症に備えた身上監護や適正な

 財産管理を行うことが可能となります。